屋敷に迎えられて初めて違和感をもったのは、女の使用人たちの暗い雰囲気だった。

「彼女がわたしの妻になる女性。未来の伯爵夫人だ。今日からここで暮らすから、皆、よく仕えるように。」

明朗な主人と対照的に、まるで葬式のような雰囲気ではないか。
顔色が青かったり、今にも泣きそうな顔をしていたり。
そして、男の使用人たちは、それをごまかすように不自然な笑顔。

ピンときた。

夫は、この女の使用人たちに手を付けている。
しかも、一人や二人ではない。



女の使用人たちは、わたしの言うことをなかなか聞かなかった。
なにかを言いつけても、必ず一度は渋る。

いっそ女たちを解雇しようかとも思ったが、
女の使用人を一斉に入れ替えるのが早いか、それとも自分の結婚相手を取り替えるのが早いか、迷った。

しかし迷っているうちに時間は過ぎ、そのまま伯爵と結婚してしまった。


あるとき、庭の片隅で泣いてうずくまる少女がいた。
わたしが屋敷に来た頃からいる、ブロンド美少女の使用人だ。
その背をさすり慰めているのは、最近入ったばかりのブルネットの使用人。
こちらも美少女。


数日後、背をさすっていたほうのブルネットの美少女が、決然とした表情で夫の部屋をノックしていた。

それを廊下で見かけたわたしは、夫の部屋とL字になっている部屋に入り、窓から室内の様子をうかがった。

夫はなだめるように少女の背に手を添え、なにごとか憤然と言い募る少女を、そのまま続き部屋へ誘導した。
続き部屋は、寝室になっている。


そして2時間後、入室前にあったトゲが嘘のようにとれ、ぽーっと頬を染めた美少女と、したり顔の夫がいた。

 

 

 

 

   目次   次の話へ

 最終更新日 2016/01/31

 最終更新日 2016/12/25