男性というものはつくづく不思議なものだ。

わたしは隣で眠る夫の顔を見つめながら、父母の夫婦関係から、あの若者の一目惚れまで、いろいろと思い出していた。
言葉と行動が一致しないのはどうしてだろう。
純情と割り切りは一体どうやって分けているのか。

それに、侯爵夫人が言っていたことは。
彼が、わたしがいなくなって様相が変わっていたというのは本当だろうか。

わたしがいなくなって、後悔した?

「わたしのこと、愛してる?」
小さな声で尋ねてみたが、答えは返ってこなかった。

すうすう、と呼吸に合わせて胸が上下している。
すぐそばにある「生命」を感じる。
そんなことにさえ感動するのだから、わたしは彼のことが好きで仕方ないのだろう。

本当に不思議なものだ。

なぜ彼は、安心しきった顔で、わたしの隣で眠れるのだろう。
今でも領地の使用人たちのことを思い出すと胸に黒い澱がたまりそうになるというのに。
わたしが彼に復讐するとは思わないのだろうか。


上半身を起こすと、気配に気付いたのか、彼の腕が動き、ポフポフとわたしがいた場所を叩く。
寝ぼけまなこでわたしの名前を呼び、姿を見つけると安心したように腕を伸ばして引き寄せた。
わたしを腕の中に閉じ込めて、夫は再び寝息を立て始めた。

わたしもそっと目を閉じる。


わたしたちが絡み合い、一本の木になり伸びていく姿を、脳裏に絵描きながら。

 

 

 

 

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 最終更新日 2016/01/31

 最終更新日 2016/12/25